「日本に住んでいる外国人が、免税店で日用品を購入する“脱税”が目立ちます」。福岡市内の百貨店に勤めていた元従業員の30代女性から、特命取材班に困惑の声が寄せられた。消費税が免除される対象は外国人旅行者を中心とした「非居住者」のはず。インバウンド(訪日外国人客)需要に沸き、にぎわう免税店で何が起きているのか。
元従業員は今年の夏まで約3年間、外国人旅行者が購入した商品の免税手続きを行う百貨店の免税カウンターに勤務。外国人でも、日本に6カ月以上在住している人などは対象外だが「何食わぬ顔で手続きを受けていた」と明かす。
「一番多かった」手口はこうだ。日本に住む外国人が旅行で来日した家族や知人を連れて来店し、自分用とみられる生肉やすしといった食品や化粧品、服などを購入し免税カウンターへ。家族らの「短期滞在ビザ」のパスポートを提示し、支払った消費税分を受け取る-。それほど悪意はなく、家族の買い物に付き添っている可能性もあるが、「明らかに意図的なケースが月に10組はいた」という。
「戻ってきたお金は、あとでちょうだい」
10年以上前からの顔見知りでよく来店する中国人女性が、一緒に訪れた旅行客に「戻ってきたお金は、あとでちょうだい」と頼む様子を見たこともある。
総額約160万円の高級腕時計2本を購入した別の中国人女性が、別人のパスポートを提示したため、手続きできないと伝えると、連れの2人と「ほかにパスポートを持ってる人はいる?」と相談。数十分後に連れてこられた「短期滞在ビザ」の中国人男性が手続きした。男性は約10万円の払い戻しを受けるとすぐに、中国人女性に手渡した。元従業員は中国語を聞き取れるため、不正に気付いた。
「譲渡されても分からないのが現状」
上司に訴えたものの、「『売れればいいし、店は違反を指摘する権利はない』と返された」という。
同市・天神のドラッグストアでも同様で、元アルバイトの男子留学生(21)は「30代くらいの男性が、赤ちゃんや老人のパスポートを出してきても、手続きをしていた」と打ち明ける。
ある百貨店の広報担当者は「手続きが正当に終われば商品の行方までは聞かない。譲渡されても分からないのが現状」と話した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース